
今回は、フランスの精神科医フレデリック・ファンジェ博士が書き記し、ロングセラーとなっている名著『自信を持てない人のための心理学』より、自信とは何か、心を失ってしまう理由はないか、どうすれば自信を持てるようになるのか、という話を心理学的視点から解説していきます。
自信を高めることができると、やる気が高まりチャレンジする勇気を持て、困難にくじけない強いメンタルを保つことができるようになります。
この記事では、自信を構成する要素、そしてそれらを高めていく方法を学ぶことができます。
ぜひ最後までお楽しみください。
目次
自信のメカニズム
フレデリック・ファンジェ博士によると、自信というのは次の三つの要素の相互作用によって成り立っているといいます。
その要素というのは
1:自己評価
2:行動
3:自己主張
上記の三つです。
これら三つの要素というのは、どれか一つだけでも高まれば他の二つもつられて高まるという仕組みになっています。
そのことは逆に、どれか一つだけでも低くなると他の二つも一緒に低くなるというわけです。
自分に対する評価が低いと行動意欲は起きませんし、勇気を持ってNOと他人に言うこともできません。
行動する力が弱いと、本来なら行動することで得られる知識や経験が乏しくなっていきますし、自己主張ができないと自分本位の生き方ではなく、他人に振り回される生き方になって行きます。
このように自信がなく、そのことが日々の生活にネガティブな影響を及ぼしている人というのは、それら三つの要素のどれもが低く、そのことがさらに他の要素をどんどん下げていくという悪循環に入っているからである、と説明できるのです。
そうなると自信がないという人に共通することというのは、それら三つの要素のいずれか、もしくは複数を直接的に避けてしまっている要因があるということです。
その要因とは一体何なのでしょうか。
自信を持てなくする7つの思い込み
博士によるとその要因というのは、「人のネガティブな思い込み」でありその思い込みには次の7つの典型的なパターンがあると言います。
その思い込みの7つのパターンというのは、
1:私には能力がない
2:いつも人から認められなければならない
3:私はダメな人間だ
4:何事も完璧にやらなければならない
5:いつも正しい判断を下さなければならない
6:世の中は危険に満ちている
7:人を信頼してはいけない
こうした思い込みが自信を構成する三つの要素である自己評価・行動・自己主張の3つのいずれかを下げており、そのことがその他二つの要素をどんどん下げる、という負の連鎖が始まってしまうのです。
この記事では「自信を取り戻す」という点にもっと焦点を絞り、一体どうすれば自分を苦しめるネガティブな思い込みから脱却して、本来の自信というものを取り戻せるのか、その方法を解説していきます。
自信を回復していく方法とは
自信を構成する三つの要素、自己評価・行動・自己主張というのは互いに関連しあっていると先ほど言いました。
つまり三つのうちどれか一つだけでも良くなれば、自然と他の二つも良くなり、そのことがまた他の二つを良くしていくという好循環に入っていくことができるのです。
それら三つの要素について一つずつその改善の方法を紹介していきます。
いくつか方法を紹介していきますが、どれか今すぐ簡単に手が届きそうと思える方法を実践してみてください。
三つの要素を全て一気に上げて行くのは難しくても、どれか一つの要素さえ高めれば他の二つも高まりそのことがどんどん全体のレベルを高めていくことができるようになっていきます。
1:自己評価を高める方法
自己評価を高めるというのは、つまりもっと自分を好きになり、自分の事を肯定的に見られるようになるということです。
そのためにはまず、自分の評価を自分で下げているネガティブな自動思考の存在に気づき、止める必要があります。
自動思考というのは選択の余地なく自動的に頭の中に浮かんでくる考えのことです。
例えば、自分はダメだ、自分は悪い人間だ、自分にはどうせできない、というように事あるごとに悪魔の囁きのように頭の中で繰り返されます。
そうした自動思考は自分を自信のない状態に縛り付けてしまうため、なかなか自信回復のための好循環に入っていけないわけです。
しかしそうした状況をいち早く改善するとっておきの方法があります。
それは自分が自分の親友になるという発想です。
一番仲の良い友達が目の前でくじけていたらきっと皆さんは避難するのを止め、励まそうとするはずです。
その時そこにあるのは客観性です。
つまりネガティブの中に埋没せず、そこから一歩距離を取った位置から、言うほどネガティブな状態なんかでは無く全然大丈夫である、と励ますはずです。
しかし自分事となるとどうしても客観的に状況を見られなくなっています。
そのため「自分が自分の親友である」という発想で自分自身に接してみると良いのです。
自信を回復するための第1の方法は自分自身に親友であるかのように接するということです。
2:行動を増やす方法
行動を増やせるようになるとは、つまり迷いや気後れを取り除いて色々なことに挑戦できるようになる、ということです。
行動することによって自己評価を高める・自己主張ができるようになる、という好循環を加速させることができます。
それでは一体どうして自信のなさは行動減らしてしまうのでしょうか。
それは行動しようという動機に先立って、後悔・焦り・迷いといったネガティブな感情が沸き起こり、そのネガティブな感情から逃げるために行動意欲をなくしてしまうからです。
自信はそうしたネガティブな感情を和らげ、また振り払って行動する力をもたらします。
そこでとっておきの方法は、自分の長所というのを自覚し長所を活かすことから始めるという方法です。
まず自分の能力について考えてみて、長所といえる部分を洗い出してみましょう。
自信を失いやすい人というのは、自分に対する期待が高すぎるともいえるため、ややそう思うというレベルで長所として構いません。
そして、そうした長所を今すぐ活かせることは何か、という視点から行動することを考えてみましょう。
そして小さな行動が更なる行動意欲をもたらしてくることをイメージしながら、できることというの一つずつ増やしていきましょう。
そうしたプロセスがそのまま自己評価を高め、また自己主張能力を高めていくことに繋がっていくのです。
自己主張ができるようになる方法
そして最後に自己主張ができるようになりましょう。
自己主張ができるようになるとは、つまり自分の気持ちや考えを相手にうまく伝え、人と上手に付き合えるようにするということです。
自信のない人というのは意見を言うのが苦手なため、気づいた時には他人に振り回されているというケースが多々あります。
他人ではなく自分で考えたことを実際に行なっていくためには、自己主張ができるようになると良いのです。
そのためのとっておきの方法は、主張したい事リストを作り、難易度の低いことから順に主張してみるということです。
自分にとって難易度の高いことであったとしても、それを要素に分解してみると、いきなり大きな要求ではなく小さな要求を通すことから始めることもできるはずです。
ただ自信がない人というのは自己主張ができない、他にも自己主張が下手という問題もあります。
自己主張が下手な理由は、それが感情的過ぎるか攻撃的すぎるからです。
そのため感情的にならないこと、攻撃的にならないこと、この二つのことを念頭に自己主張できる範囲というものを広げて行ってみましょう。
まとめ
以上いかがでしたか?
今回はフランスの精神科医フレデリックファン博士による『自信を持てない人のための心理学』より自信のメカニズムから自信を失う原因、また回復のための方法について解説してきました。
博士によると自信というのは、自己評価・行動・自己主張これら三つによって成り立っており、それら三つの要素は互いに高め合うこともすれば違うこともすると言います。
そのため自信を持てるようになるためにはそれら三つの要素のうち、どれか一つからでいいので、高めるための取り組みを始めてみると良いのです。
おすすめ書籍
自信をもてない人のための心理学
商品説明
あなたの人生を難しくしている〈思い込み〉から自由になろう。
自信は、〈自己評価〉〈行動〉〈自己主張〉から成り立っている――自分で簡単にできる心のトレーニングで自信を育て、悪循環から抜け出す方法を、精神科医が豊富な事例と図表でやさしく説く。
5か国語で刊行、フランスのロングセラー。
「自信がない」という状態を克服するための方法論が書かれています。
出典:amazonレビュー
よくある自己啓発書とは異なり、論理的に書かれているため納得感があります。
「心理学」というタイトルがついているため、小難しい印象があるかもしれませんが、語りかけるような文章でとても読みやすいです。
フランス語の翻訳本ではありますが、日本人向けの文章に再構築されており(原文と訳文が1対1ではない)、翻訳本特有の読みにくさは皆無。
私情で、自分に自信をもてなくなってしまい1年以上が過ぎ、さまざまな書籍を読みました。この本は素晴らしいと思います。たとえ話は微妙でしたが、自信を持つための考え方・方法が記載されているため、実践できるところが魅力です。私はこの書籍で、少しづつですが自信がよみがえってきた気がします。
出典:amazonレビュー